十日町市 生越養豚場における汚水処理の取組み

オキシデーションディッチ型回分式活性汚泥法による汚水処理


1.地域の概況


 生越養豚場のある十日町市は、県南部の中山間地域に位置し、県内でも有数の豪雪地である。良質な魚沼米の産地として知られ、農業粗生産額の77%を水稲が占めている。養豚の粗生産額に占める割合は大きくないが、地元での豚肉販売に力を入れ地域に定着している。養豚農家の点在化がすすんでいることから、ふん尿処理の共同化は難しくなってきている。
 また信濃川の流域であるため、処理水の河川放流にあたっては、水質汚濁防止法の基準に上乗せしてさらに厳しい排出基準が設定されている。


2.生越養豚場の経営概要


経営形態

養豚 繁殖肥育一貫

飼養規模

母豚82頭 常時飼養頭数 約800頭

労 働 力

夫婦2人


生越養豚場は地域でも常にトップクラスの成績を上げており、平成12年度全国優良畜産経営管理技術発表会で優秀賞を受賞している。また、家族経営協定を締結し役割分担や収益配分を明確にした経営を行っている。


3.汚水処理施設導入の経過


 尿汚水は近隣の露地野菜農家のほ場へ還元していたが、規模拡大とともに散布ほ場の確保が難しくなってきたことと、散布時の悪臭が問題とされるようになってきたことから、処理方法を見直す必要に迫られていた。
 数年前から先進地視察や研修会等へ積極的に参加し、処理方法の検討を重ねてきたが、平成9年に視察した神奈川県畜産研究所で当養豚場の条件に合う汚水処理施設に出会ったことと、畜産環境整備リース事業により個人でも助成が受けられるようになったことから、施設導入に踏みきった。
 施設選定においては、労働力・資金が限られた個人経営であるため、維持管理のしやすさと処理能力の安定性を重視した。


4.導入事業


事 業 名

平成11年度 畜産環境整備リース事業(1/2助成)

再借受者

 

十日町農業協同組合

事 業 費

 

2,300万円
(国補助1/2、受益者負担分1/2を12年間のリース料として支払う)



5.汚水処理施設の概要


導入施設:オキシデーションディッチ型 回分式活性汚泥法
選定上考慮したポイント

 (1)

全自動で運転管理が簡単
 

 (2)

処理能力が安定している ‐ 畜産分野での実績が豊富

 (3)

故障が少ない ‐ 使用機器が少ない、オールステンレス、コンクリート製

 (4)

ランニングコストが低い ‐ エネルギーロスの小さい表面曝気型(水深が浅い)

 (5)

希釈水を使用するため余剰汚泥の発生が少ない ‐ 砂ろ床で対応可

 当方式は神奈川県を中心に広く利用されているが、豪雪地に設置するため曝気槽表面をすべてコンクリートスラブ等で覆うよう工夫した。

 また、当方式の短所として、

 (1)

希釈水が必要(日量15 m3

 (2)

設置面積が比較的広い(曝気槽の水深が約2mと浅いため)

 (3)

積雪期間のろ床の汚泥乾燥能力が未知数

 以上3点が考えられた。(1)・(2)については立地や敷地の条件から対応が可能であったこと、また(3)については、ろ床を光透過性のある建屋で覆うことで対応した。

 

主要施設規模

曝 気 槽 142m3 オキシデーションディッチ(酸化溝)型

 

 

投 入 槽 15m3

 

 

希 釈 槽 30m3

 

 

汚泥濾床 38m2

 

 

本体設置面積 22 m×7.8 m=172 m2

機器の仕様

曝気装置 スクリュー型旋回エアレータ―(スパロータ)3.7kw ×1基
(表面機械曝気法)

 

 

振 動 篩 平面振動篩0.7m2 ×1基

 

 

水中ポンプ 1.5kw 口径80mm 0.4 m3/min ×4基

 

 

コントロールボックス

ランニングコスト

電気料金 30,000円/月

処理能力

投入汚水

汚 水 量

15 m3

 

BOD量

50・/日

 

SS量

80・/日

放 流 水

放流水量

30 m3

 

BOD濃度

60ppm以下

 

SS濃度

60ppm以下

参考

信濃川水系排水基準

 

 

BOD 最大100ppm以下 日間平均80ppm以下

 

 

S S 最大100ppm以下 日間平均80ppm以下



6.稼動状況と今後の課題


 好気性微生物の浄化作用を利用しているため、曝気槽中の溶存酸素量は状態を知る重要な指標の一つである。測定場所は曝気装置の直前(1週約22mを周り、最も酸素量が少ないところ)で酸素は曝気時間中一定量が供給されている。
 前半部分(21:00〜9:00)は活発に酸素を消費して汚濁物質の分解が進んでいることを示唆しており、浄化がほぼ終了した後半部分(9:00〜18:00)からは、高い酸素供給能力があることが読み取れる。また全般に安定した曲線を描いていることから、澱みが生じていないことが推察される。
 放流水の水質は排水基準の範囲内で維持されており、施設や放流水からの悪臭の発生は無い。余剰汚泥の発生も、処理能力に充分余裕があるため設計数値より低く抑えられているが、引抜いた汚泥の有効利用が今後の課題となる。
 また、浄化槽の周囲に草花が植えられ、農場全体の景観の改善にも役立っている。

中魚沼農業改良普及センター 長谷川 靖

 


曝気槽表面:花を植え、美化に努めている


曝気槽内部


汚泥ろ床

 


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