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養豚
経営

高い生産技術と営業努力が実を結んだ養豚経営

吉澤 博文

 

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.地域の概況

 

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 田上町は,県都新潟市と長岡市のほぼ中央に位置し、町の中央部を南北に縦貫するJR信越本線とこれとほぼ並行する国道403号線を軸として東側の山林丘陵地帯、西側の農業地帯、中央部の住宅・商工業などの諸活動の基盤をなす都市的土地利用地域の三つに大別される。

 

1)総人口の推移                             (単位:人)

昭和55

昭和60

平成2

平成7

平成12

平成17

11,396

12,083

12,761

13,523

13,643

13,447

 

(2)農業粗生産額(平成16年)

区分

農業粗生産額(百万円)

生産農業

所  得

(百万円)

生産性(千円)

総額

うち耕種

うち

畜産

農  家

1戸当り

10a当り

専従者

1人当り

小計

うち米

うち野菜

生産額

1,703

1,526

1,256

164

106

862

2,087

90

1,774

 

(3)飼養頭羽数(平成18年)       (単位:戸数・戸、 頭数・頭、 羽数・1000羽)

区 分

乳用牛

肉用牛

採卵鶏

戸数

頭数

戸数

頭数

戸数

頭数

戸数

頭数

369

11,790

361

12,920

195

204,400

39

4,353

田上町

2

98

-

-

2

2,066

-

-

 

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2.経営・生産の内容

 


1)労働力の構成

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区分

経営主との続柄

年齢

農業従事日数(日)

部門または作業担当

備考

 

うち畜産部門

 

本人

44

325

325

養豚全般

 

 

73

300

300

除糞、清掃

 

家族

70

 30

 30

除糞、清掃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

常雇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

臨時雇

のべ人日                人

 

 

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(2)過去5年間の生産活動の推移

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平成14

平成15

平成16

平成17

平成18

畜産部門労働力員数(人)

3

3

3

3

3

飼養頭羽数(頭・羽)

母豚104

母豚98

母豚94

母豚97

母豚95

販売・出荷量等(t・kg・頭)

肉豚2,493

肉豚2,490

肉豚2,435

肉豚2,264

肉豚2,429

畜産部門の総売上高(円)

84,008,950

72,696,390

80,557,297

76,920,982

81,768,317

 

主産物の売上高(円)

82,160,188

70,953,152

78,683,010

74,943,838

79,823,555

 

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(3)経営・技術等の実績

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3.経営実績の特徴

 

 

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1 高位生産技術の確立

@   管理・観察に要点を置いた飼養管理

種雌豚は品質・系統を統一しており、県内のオーエスキー・PRRS清浄地域のブリーダーから導入している。当該経営は個体の管理・観察を徹底することで特に繁殖飼養管理技術に優れ、種雌豚1頭当たり年間離乳子豚頭数27.0頭の成果を得ており、これが種雌豚1頭当り年間肉豚出荷頭数25.4頭となり、低コスト生産につながっている。

 

 【過去5年間の主な成績並びに新潟県指標値との比較】                                 (単位:頭)

項   目

H14

H15

H16

H17

H18

新潟県指標値

1腹当り分娩頭数

11.1

11.5

11.5

12.2

12.5

11.0以上

1腹当り離乳頭数

10.4

10.6

10.3

10.7

10.7

 9.8以上

年間換算

離乳子豚頭数

24.6

26.0

25.8

25.3

27.0

23.0以上

種雌豚1頭当り

肉豚出荷頭数

23.9

25.5

25.7

23.3

25.4

23.0

 

A   省力管理とオールイン・オールアウト方式による衛生管理

施設・装備に関しては機械化による省力管理方式を採用している。また、オールイン・オールアウト方式を行うことで、病原体の水平感染を予防している。オールアウト後、豚房を徹底して水洗し、乾燥・消毒後に新たな豚をオールインするため、衛生管理は極めて優れたものがあり、よって飼料要求率や増体量などの好成績にもつながっている。なお、肥育豚舎はウインドウレス豚舎となっており、舎内環境は外気温の影響を最小限にとどめ、理想的な舎内温度と湿度を保持している。また、舎内の隅々まで換気させることができ、呼吸器病予防につながっている。

 

B   HACCP方式に基づく衛生管理

養豚経営を取り組む上では衛生管理が最重要課題の一つであることから、早々にHACCP方式を導入している。HACCP方式の考え方を導入した衛生管理体制を確立したことで、新潟県畜産協会が実施するクリーンポーク生産農場認定事業により、平成16年にクリーンポーク生産農場として認定されている。また、併せて年1回、衛生クリニックを受診しており、豚群の清浄度の維持に積極的に取り組んでいる。

 

C   有機酸の利用

種雌豚の健康を保つために有機酸(木酢液)を11頭当り200cc給与している。有機酸の働きで胃内のpHを低く保つことができ、消化酵素の分泌・活性化を促してタンパク質の消化を促進させる。さらに授乳期間に与えることで飼料摂取量を増し、栄養不足による乳質の悪化や乳量の低下を抑え、種雌豚へのダメージを回避している。

 

D   記録・記帳の励行

几帳面に生産技術、経営に関する記録・記帳を励行し良く整理している。飼養管理面では繁殖部門での記録を個体別に行い、繁殖台帳に転記し管理しており、肥育部門では肉豚の飼育日数や出荷体重を計量したものを記録している。見落としがちになりやすい豚の異動状況や健康状態等が正確に記録されることで、現状の飼養管理状況が的確に把握ができ、それぞれの処置や対応が迅速に行われて改善につながっている。

 

2 プライベートブランド豚肉生産の取り組み

@   アクが少なく獣臭がほとんどしない豚肉生産

飼料は木炭を混合した指定配合飼料を使用している。木炭は体の老廃物を排出する効果があるため、アクが少なく獣臭がほとんどせず、しかも脂肪の融点が高い良質な肉に仕上がる。

 

A   肉のうまみを引き出す技術の開発

県内の食品スーパーと共同研究し豚肉を特別な条件下(氷温)で約2週間熟成させる技術を開発している。この技術でタンパク質分解によるアミノ酸生成がうまみ成分を上昇させ、さらに筋肉繊維が分解されて柔らかくなり、これをプライベートブランド「熟成豚」として販売している。

 

B   肉質分析と食味検査の実施による消費者へのPR

豚肉の成分分析並びに官能検査・試食調査の実施による消費者ニーズの把握に努め、美味しい豚肉生産に力を入れている。

 

3 堆肥の契約販売

副産物の堆肥は、特殊肥料生産業者並びに肥料販売業務を届出て新潟県より認可を受け、「土の友」という商品名で販売している。なお、堆肥は粒状と粉状の2種類を生産しており、粒状堆肥は主に水稲農家、粉状堆肥は主に野菜農家に販売されている。

平成11年から、秋田県大潟村のJAS認定無農薬有機米栽培グループと年間利用販売契約を結び約3千袋を販売しているほか、町内及び近郊の果樹農家、施設野菜農家、水稲(育苗)農家に生産された全量を販売している。堆肥の需要は高く、現在は生産が追いつかず新規の申し込みはお断りする状況となっている。

上記のように、13月に生産する堆肥は大潟村へ、49月に生産する堆肥は地元の果樹農家や野菜農家へ、912月に生産する堆肥は地元の水稲農家へ販売するため、年間を通して販売ローテーションを組むことができ、貯蔵施設を最小限に抑えることが可能となっている。

 

4 養豚グループ活動

@   新潟市、長岡市、燕市、魚沼市、田上町の養豚仲間で作る養豚グループ「あすなろ会」の代表を務めており、グループ全体で年間1万頭ほどの肉豚を生産している。

A   データによる各農場の経営分析及び衛生クリニック受診による経営成績向上と飼育環境改善に取り組んでいる。

B   飼料の統一化・共同購入により、仕入れ単価の引き下げと肉質改善に取り組んでいる。

C   高品質豚肉生産による銘柄豚肉の販売。

D   豚肉の成分分析並びに官能検査・試食調査の実施による消費者ニーズの把握に努め、美味しい豚肉生産に力を入れている。

E   クリーンポーク認定事業に取り組み、生産履歴の明確化による消費者への安全な豚肉提供を心がけている。

総会や各種勉強会を定期的に開催しており、情報交換等を行うことで技術的・経営的知識の向上を図っている。

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4.経営の歩み


1)経営・活動の推移

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年次

飼養頭数

経営・活動の内容

 

 S43

 

 

S48

 

 

S53

 

S56

 

 

S58

 

H1

 

H2

 

H6

 

 

H7

 

H9

 

H10

 

 

H11

 

H16

 

H18

 

母豚5

 

 

母豚30

 

 

母豚30

 

母豚40

 

 

母豚50

 

母豚50

 

母豚70

 

母豚80

 

 

母豚90

 

母豚90

 

母豚100

 

 

母豚100

 

母豚100

 

母豚100

 

  父が外勤(運送業)をしながら、自宅脇の空き地にて母豚5頭の養豚業を開始。

 

 

  ゴルフ場の開発により、当時所有していた田畑・山林を売り、得た金で土地を購入して豚舎を建設し、母豚30頭に規模拡大。

 

  肉豚舎を建設。子豚市場から購入した子豚の肥育を開始。

 

  離乳・分娩舎を建設。母豚40頭に規模拡大。

  本人、農業高校を卒業、食肉加工会社へ就職。

 

  種豚舎を建設。母豚50頭に規模拡大。

 

  本人、食肉加工会社を退職して養豚業に就農。

 

  分娩舎を改築し、母豚70頭に規模拡大。

 

  種豚舎を改築、ストールを増設し、母豚80頭に規模拡大。

  県内の養豚仲間で作る養豚グループ「あすなろ会」発足。

 

  ウインドウレス肉豚舎を建設し、母豚90頭に規模拡大。

 

  流通業者協力のもと、ブランド豚肉「熟成豚」を販売開始。

 

  畜産環境整備リース事業を活用し、開放直線型堆肥化施設(ロータリー撹拌式)を建設し、母豚100頭に規模拡大。

 

  秋田県大潟村の無農薬有機米栽培グループへの堆肥販売開始。

 

  社団法人新潟県畜産協会からクリーンポーク生産農場に認定される。

 

  長男が農業大学校(畜産専攻)を卒業し、飼料会社に就職。将来は養豚業を継ぐ予定。

 

 

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5.環境保全対策

 

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処理の内容

処理方式

全て分離

処理方法

(記述)

【固形分】

畜舎にて固液分離後、開放直線型堆肥化方式(ロータリー攪拌式)の発酵処理施設にて堆肥化を行う。

まず、発酵槽に完熟堆肥を1mほど敷き詰めておき、ふんを投入して自動運転し攪拌する。1日に約40cmの移動を繰り返し、約120日で完熟堆肥が完成する。

完成した堆肥は、粒状堆肥と粉状堆肥に区分され、それぞれを袋詰め機械で製品にする。堆肥はすべて袋詰めにして年間約1万袋を販売しており、利用者の評判は良好である。

なお、撹拌時に出る臭いを取り込み木酢液に吸着させて排出する脱臭装置も装備している。

 

【液体分】

くみあい浄化槽(希釈型連続式活性汚泥法)を導入、自動運転をしている。

畜舎にて固液分離した液体分を汚水ピットに溜めた後、振動ふるいに掛けて細かいゴミを除去する。その後、曝気層、沈殿層を経て処理が行われ、最終的に川へ放流する。

敷  料

(記述)

 

 

 

内容

割合

用途・利用先等

条件等

備考

利用の内容

販  売

100

秋田県大潟村の無農薬有機米栽培グループ

町内の果樹農家、野菜農家、水稲農家等

年間利用販売契約を結ぶ

 

交  換

 

 

 

無償譲渡

 

 

 

自家利用

 

 

 

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6.地域農業や地域社会との協調・融和のための取り組み

 

 

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1 関係機関が協力して確立した地域銘柄「熟成豚」の販売体制

熟成豚は、あすなろ会とJAミートながおか、食品スーパー「マルイ」が共同研究し、平成9年に商品化された銘柄豚である。

主な特徴として、生産段階ではグループ会員が統一の全農指定配合飼料を給与しており、飼料には天然の木炭をはじめ、各種ビタミン、ミネラルを配合し、病気に対する免疫力向上を図っている。

また、加工段階では、出荷された豚肉をJAミートながおかでと殺、脱骨、整形した後、真空パックをして摂氏0度からマイナス1度程度の氷温で2週間熟成保存することにより、タンパク質がアミノ酸に分解され、旨みとコクのある柔軟な豚肉に仕上がる。一方、加工された熟成豚は、県下の食品スーパー「マルイ」店舗で販売され、消費者に美味しさを提供している。

 

2 資源循環型農業の推進と環境保全

町内及び近郊の果樹農家、施設野菜農家、稲作農家に堆肥を販売して、資源循環型農業を推進している。また、県内のみならず、秋田県大潟村の無農薬有機米栽培グループと年間利用計画を結び約3,000袋を販売している。

 

3 環境美化への取り組み

畜舎周辺に四季の花々を植栽している。特に畜舎前の道は車や人の往来があることから環境美化に配慮している。また、農場周辺には樹木を植え、景観の向上と悪臭飛散の低減に努めている。

 

 

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7.今後の目指す方向性と課題

 

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1 今現在、主な作業のほとんどを1人で行っており、労力的にも厳しくなってきたので、近い将来には従業員を雇い、法人化する考えでいる。

2 なお、今年21歳になる長男は農業大学校(畜産専攻)を卒業後、飼料会社に就職しているが、将来は家業の養豚を継ぐ予定がある。そのためにも法人化を行い、経営管理の合理化・効率化を図りたいと考えている。

 

【グループの目標について】

1 現在、年間出荷頭数は約1万頭であるが、ブランド豚肉「熟成豚」の定着と消費拡大に伴い、生産量の増加を進めなければならない。また、銘柄豚として消費者からの支持を確保するとともに、販売側との信頼を確保することによる高付加価値販売を確立し、会員の生産意欲向上と安定した養豚経営を確固する必要がある。

2 また、地元の旅館やホテル、居酒屋等に熟成豚を積極的にPRし、新たな販路を開拓していきたいと考えている。

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8.事例の特徴や活動を示す写真

 

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吉澤博文氏

 

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スーパーマルイで販売される熟成豚

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熟成豚の案内看板

 

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農場全景

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種豚舎内部

 

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哺乳中の子豚

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ウインドウレス肉豚舎

 

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ウインドウレス肉豚舎内部

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季節の花を植栽

 

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ロータリー攪拌式の発酵処理施設

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生産堆肥「土の友」

 

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浄化槽

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