優秀畜産表彰出品事例

●フリーストール体系の導入と転作田の活用による酪農専業経営の確立

中 村 日出男(48歳) 三島郡三島町大字鳥越甲3712-1

1.経営の特徴



当経営は自給飼料基盤が脆弱な本県酪農経営の中にあって、転作田の積極的な活用と飼料畑の集積により経産牛1頭当たり20.6aの飼料作物栽培を行い、堆肥の経営内有効利用を図りながら、環境問題への適切な対応を実施している事例である。特に、経営面で、県内では比較的早い平成元年に有限会社組織として法人化を図り、平成3年にはフリーストール・パーラー搾乳体系を取り入れ、規模拡大と省力管理、飼養牛の健康管理に努め、乳量・乳成分の安定化を図っている。一方、飼養管理面においては、コンピュータが一般的に普及する前から導入を行い、牛群管理・経営管理に活用すると共に、現在は情報収集、情報発信手段としての活用も始めている。また、乳用牛群能力検定事業にも積極的に参加し、乳牛の改良に努めると共に、酪農経営に必要な様々な技術を有し、地域のみならず県内の酪農発展に尽力している。さらに、地域内においても、小学校、高校の研修生受入農家として農業体験場所を提供すると共に、地域酪農組合の理事としても活躍する等、技術・経営内容の他、地域貢献面でも非常に優れている。主な取組みは以下の通りである。
@県内では比較的早い、平成3年にフリーストール飼養、パーラー搾乳による規模拡大を行い、省力管理と飼養牛の健康管理に努めている。
A牛群検定結果、血液検査を継続して実施し、その結果を活用して牛群の改良、乳成分の向上を図っている。
B自家水田を全面的に転作し、飼料作物生産に活用すると共に、飼料畑の積極的な借地により経産牛1頭当たり20.6aの飼料畑を確保し、堆肥の自家有効利用と自給飼料増産に努めている。
C人工授精、受精卵移植、削蹄、機械修理等は出来る限り自分で行い、コスト低減に努めている。
D早くから、コンピュータを活用した牛群管理、経営管理を実践しており、平成元年には法人化(有限会社)を行っている。
E地域の集団転作田における飼料作物の収穫を2戸共同で請け負い、調和を図っている。
F酪農組合の理事として、地域に貢献すると共に、「地域の農業を考える会」が実施する農業視察で小学生の研修の受け入れや、長岡農業高校の研修生の受入れ等を行っている。


2.経営の形態


酪農専業経営

3.経営の概況


(1)家族人員および労働力の構成
ア 家族人員数  4人
イ 農業従事者数  2人

表−1

続柄

年令

労働力

農業従事の程度

家畜飼養割合

飼養経験年数

主な担当部門

本人

48

1.0

100

100

27

酪農

41

1.0

100

100

19

酪農

(2)経営地の面積

表−2

区分

水田

飼料畑

山林

転換畑

面積

(ー)a

450(一)a

700(550)a

200(一)a

1,350(550)a

カッコ内借地

(3)乳牛の飼養規模
  1 経産牛

表−3

区分

期首

導入

未経産より

頭数

59

0

14

販売

廃用

期末

延頭数

平均規模

14

3

56

20,372

55.8

 注)搾乳牛48.6頭(延べ17.728頭)

2 未経産牛

表−4

区分

期首

導入

育成より

経産へ

販売

期末

延頭数

平均規模

自家産

導入

頭数

15

0

13

14

0

1

13

4,911

13.5

3 子牛・育成牛

表−5

区分

期首

導入

生産

頭数

17

0

57

未経産へ

販売

死亡

期末

延頭数

平均規模

14

32

2

26

7,667

21.0

4 建物施設・器具

表−6

区分

形式

面積・数量

区分

形式

面積・数量

畜舎

成牛舎
成牛舎
パーラー舎
乾乳舎
育成舎

木造平屋
木造平屋
木造平屋
木造平屋
パイプ式

18×10m
10×18m
7.2×19.8m
10.8×32.4m
12.6×19.8m


トラクター
トラクター
ハーベスター
ディスクモアー
ジャイロレーキ
マニュアスプレッダー
ライムソワー
ロールベーラー
ベールラッパ
ベールグリッパ
トレーラ
ショベルローダー
ホイールローダー
ダンプ
トラック

48ps
54ps
ピックアップ


1,500kg
200cm
100cm
80〜100cm
120cm

0.2m
3
0.4m
3

2台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台
1台

施設

堆肥舎
堆肥舎
堆肥舎
堆肥舎
倉庫
倉庫
倉庫

木造
木造
ハウス式
ハウス式
木造
木造
木造

7.2×7.2m
7.2×7.2m
12.6×18.0m
7.2×18.0m
9.0×9.0m
7.2×9.0m
5.4×4.5m

機械

ミキシングパーラー
ミルクメーター
バルククーラー

8頭シングル

2,100L

一式
8台
1基

4.経営の推移


 

表−7

経営全体酪農部門


S28
45
46
48
49
50
58

H1
3



5
8
10


両親が経産牛1頭より酪農を開始する
総合資金650万円を借り入れ、牛舎を新築移転し、規模拡大する
サイロ1基(128m
3)構築し、トウモロコシサイレージ調製開始
本人就農する
サイロ2基(54m
3)増設
サイロ2基(54m
3)増設
経営診断受診(2年間)

有限会社(資本金500万円)組織とする
牛舎の内部改造と増設により、フリーストール・パーラー搾乳体系とし、
規模拡大を図る
トウモロコシ栽培から牧草栽培に切り替え、
コンプリートフィード体系を中止する
育成舎兼乾乳舎、堆肥舎新築
ロールベーラ、ベールラッパを導入し、ロールラップサイレージ体系とする
育成舎、堆肥舎新築

5.経営実績



(1)経営成果

表−8

区分

単位

平成11年

指標

経営規模




経産牛

55.8

未経産牛

13.5

子牛・育成牛

21.0

合計

90.3


経産牛平均産歴

2.7

3.5以上

経産牛平均分娩間隔

14.2

13.0以内

経産牛平均種付回数

2.1

2.0以内

経産牛平均体重

kg

587

620以上

経産牛処分率

30.5


搾乳1頭当たり産乳量

kg

9,676

経産牛1頭当たり産乳量

kg

8,428

8,500以上

濃厚飼料1kg当たり産乳量

kg

2.88

脂肪率

3.98

3.60以上

無脂固形分率

8.75

8.70以上

体細胞数

千個

198

200以下




経産牛1頭当り濃厚飼料給与量

kg

2,922

3,150

経産牛1頭当り粗飼料給与量

kg

5,207

4,550

粗飼料中の稲ワラ割合

0

給与養分の
充足率

DCP

133.6

TDN

101.1

体重に対する
給与割合

全給与

3.8

3.4以上

粗飼料

2.4

2.0以上




経産牛1頭当り作付実面積

20.6

TDN自給率

5.6

10a当り収量

青刈作物

kg

4,311

永年牧草

kg

4,160

5,000以上

1kg当り
生産費

生草

埋草

13.46

乾草


経産牛1頭当り飼養管理時間

時間

103.9

120

10a当り飼料栽培時間

時間

4.3

14









牛乳1kg当り

生産原価

89.31

総原価

103.06

牛乳1kg当り
自家労賃控除後

生産原価

70.21

総原価

83.96



乳飼比

46.1

40以下

うち経産牛当りの乳飼化

41.2

35以下


(注) 1 飼料生産における1kg当り生産費は自家労貨控除額で示した。

2)牛群構成
(ア)産歴の分布

表−9

区分

給与状況(経産牛)

合計

平均産歴

1

2

3

4

5

6

7

8

在房牛

15

20

8

8

4

 

1

 

56頭

2.5産

処分牛

3

4

2

1

5

1

1

 

17頭

3.5産

合計

18

24

10

9

9

1

2

 

73頭

2.7産

割合

24.7

32.9

13.7

12.3

12.3

1.4

2.7

 

100%

 

 期首2.3産 期末2.5産

 

3)飼料給与
(ア)粗飼料の給与体系

10

区分

飼料名

給与状況(経産牛)

期間内

年間換算

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

給与量

1日当り

風乾物
換算

1日当り

ビートパルプ

3.0


60,000kg

2.95kg

60,000kg

2.95

牧乾草

11.3


9.1


204,081

10.02

204,081

10.02

牧草サイレージ

 

4.9(2.2)


57,875

4.9

26,457

1.30

←――――14.3――――→

290,538

14.27

 

(イ) 給与量(経産牛)

表−11

区分

給与量

年間1頭
当り

1日1頭
当り

ADM
割合

TDN
割合

体重に対する
ADM

備 考

濃厚飼料

163,040kg

2,922kg

8.0kg

35.9%

43.0%

1.36%

 

粗飼料

290,538

5,207

14.3

64.1

57.0

2.44

 

合 計

453,578

8,129

22.3

100.0

100.0

3.80

 

 

(ウ) 飼料養分の充足率

表−12

 

飼育日数
又乳量

DCP

TDN

備考

1日又kg当り

1日又kg当り

必要量

維持

20,372

0.367

7,477

4.353

88,679

体重 587kg

妊娠

2,644

0.209

553

1.596

4,220

 

産乳

470,271.9

0.0477

22,432

0.326

153,309

脂肪率 3.98%

追加分

0.070695

 

2,046

 

16,294

 

合計

 

 

32,508

 

262502

 

給与量

購入

41,636

250,290

 

自給

1,790

14,987

 

合計

43,426

265,277

 

充足率

133.6%

101.1%

 

自給率

4.1%

5.6%

 

 注)濃厚飼料1kg当たり産乳量・・・・・・2.88kg

(4)飼料作物生産利用状況

(ア)飼料作物生産利用状況

表−13

作物名

作付面積

10a.当たり収量

合計収量

利用区分

サイレージ

イタリアンライグラス

300a

2,307s

69,200kg

69,200kg
(22,500)

スーダングラス

300)

5,300

159,000

159,000
(50,000)

イタリアンライグラス

800

3,075

246,000

246,000
(80,000)

混播牧草

50

4,160

20,800

20,800
(8,750)

計・平均

1,150

4,160

495,000

495,000
(161,250)

(イ)飼料作物1kg当たり生産費

表−14

区分

種子費

肥料費

減価償却費

修繕費

燃料費

その他

生草1kg当たり

0.18

0.11

1.78

1.29

0.15

0.87

4.38

埋草1kg当たり

0.57

0.35

5.46

3.97

0.45

2.66

13.46

 注)埋草は水分60%換算         (単位:円)

 

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