優秀畜産表彰出品事例

●受精卵移植技術とラップサイレージ体系を利用した安定酪農への取り組み


宮野 俊(46才)新発田市大字大友


1.経営の特徴



(1)導入技術
 ア.ロールベールラップサイレージ体系を導入した通年サイレージ給与
 イ.受精卵移植技術を導入した借腹による黒毛和種子牛生産

(2)特徴と地域活動
 
当経営は自給飼料基盤の脆弱な本県酪農経営の中にあって、飼料畑の購入、借地により積極的に自給飼料生産に取り組んでいる事例である。平成3年にはロールベールラップサイレージ体系を導入し、通年サイレージ給与による安定経営を確立している。
 
また、乳用牛群能力検定事業開始当初から参加し、積極的な乳牛の改良に努め経産牛1頭当たり、1万kg近い高能力牛群を整備している。
 
さらに、平成3年から受精卵移植技術を利用した黒毛和種子牛生産を始め、副産物収入の確保による収益性の向上を図り、地域の銘柄牛の増産に貢献し、「新潟北部地域受精卵移植利用研究会」の会長として活躍し、経営内容、地域貢献共に優れている。



2.経営の形態



水稲と酪農及び飼料畑が融合した耕・草・家の複合経営



3.経営の概況



 (1)家族人員及び労働力の構成
 
ア 家族人員数  8人
 
イ 農業従事者数 4人

表−1

続柄

年令

労働力

農業従事
の程度

家畜飼養
割合

飼養経験
年数

主な担当部門

本人

46

1.0

100

100

24

酪農

42

1.0

100

100

19



 (2)経営地の面積

表−2

区分

水田

飼料畑

野菜他

 

転換畑

面積

224(90)

20(10)

689(317)

30(−)

( )

963(417)

カッコ内借地



 
(3)乳牛の飼養規模
  1 経産牛

表−3

区分

期首

導入

未経産より

販売

廃用

期末

延頭数

平均規模

頭数

38

37

13,352

36.6



  2 未経産牛

表−4

区分

期首

導入

育成より

経産へ

販売

期末

延頭数

平均規模

自家産

導入

頭数

1,817

.0



  3 子牛・育成牛

表−5

区分

期首

導入

生産

未経産へ

販売

死亡

期末

延頭数

平均規模

頭数

13

29

30

2,327

.4



  4 建物施設・機械

表−6

区分

数量

型式・大きさ

取得年

区分

数量

型式・大きさ

取得年




育牛舎
育成牛舎
格納車

堆肥舎
管理棟・車庫
車庫

パイプハウス
サイロ

489m2
84m
2
99m
2
69m
2
231m
2
162m
2
30m
2
74m2
106m
2
204m
2

木造二階
木造平屋



鉄筋二階
木造



コンクリート7基

49年
49年
52年
3年
54年
3年
49年
54年
4年

49.51.
52年


ドライブ
ハロー

ライムソ
ワー

ジャイロ
テッダー
ヘイメーカー
ロール
ベーラー
ベール
ラッパ
ローリングリフト
モアー
ロータリー
マニア
スプレッダ
バキュームシーダー
ダンプ
軽トラック

1台

1台


1台

1台

1台

1台

1台

1台
1/2台

1/2台


1/7台


2台
1台








180cm










2t





2t

63年

63年


58年

58年

3年

3年

3年

9年
9年

9年


元年


55.8年
3年


ミルカー
バルククーラー
バーンクリーナー
トラクター

1式
1台
1式
3台

パイプライン
1,400リットル
(リース)

(リース)
50.80.32PS

58年
3年
9年
61.3.6年




4.経営の推移


 

表−7

経営全体

酪農部門


26

49






52




57
60




水稲+酪農の複合経営開始

本人、大学卒業し就農、酪農部門を担当する





本人、妻、オランダで研修
(3ヶ月)



飼料畑購入(30a)
  〃  (78a)

管理棟兼車庫新築

飼料畑購入(86a)


26


49


51


52

54

56








乳牛1頭導入し、酪農開始
以後、経産牛10頭規模で搾乳

牛舎新築し、徐々に規模拡大
サイロ3基構築(87立方メートル)

飼料作機械の共同購入
サイロ2基増築(78立方メートル)

サイロ2基増築(39立方メートル)

第1回転換畑飼料生産コンクールで技術賞を受賞する。
カナダより輸入牛導入



ロールベーラー導入し、牧草体系一本とする。


第19回新潟県畜産経営表彰回で奨励賞を受賞する。




5.経営の実績



 
(1) 牛群構成

表−8

区分

経産牛
規模

経産牛
処分率

平均
産歴

繁殖

平均
体重

自家産
牛率

分娩間隔

種付回数

初回種付日数

7年

35.9

33.4

2.8

444.8 (14.6)ヶ月

2.6

85.3 

639 kg

83.3

8年

37.1

35.0

2.6

450.8  (14.8)

2.4

82.4

614

68.4

9年

36.6

27.3

2.5

445.3  (14.6)

2.4

90.8

612

62.2

 注)自家産牛率は経産牛期末時


 (2) 牛乳生産

表−9

区分

販売

自家用他

合計

搾乳牛1頭
当たり

経産牛1頭
当たり

脂肪率

無脂固形分率

体細胞数

7年
8年
9年

333,325.0kg
335,601.0
346,443.0

365.0kg
366.0
365.0

333,690.0kg
335,967.0
346,808.0

10,559.8kg
10,466.3
10,493.4

9,295.0 kg
9,055.7
9,475.7

3.71
3.84
3.80

8.62
8.65
8.70

154千個
177
153



 
(3) 子牛販売

表−10

子牛区分

販売頭数

平均販売価格

合計販売金額

乳用子牛
交雑種子牛
和牛子牛

 5
14
11

 33,930
83,179
181,300

  169,650
1,164,500
1,994,300

合計

30

110,948

3,328,450



(4) 産歴別305日期待乳量

表−11

区分

7年

8年

9年

頭数

平均乳量

頭数

平均乳量

頭数

平均乳量

1 







 9
13






 7,500kg
9,059
10,074
9,941
9,172
9,627
13,130

 18







 8,006kg
9,116
9,637
10,202
10,659
7,887
4,938
11,925

 10
15
5
2
1
1


1

 7,969kg
9,317
10,363
11,504
10,873
11,080


11,925

計・平均

40

9,109

42

8,774

35

9,375



(5) 飼料給与(平成9年実績)
 
1 経産牛給与量

表−12

区分

給与量

年間1頭
当り

1日1頭
当り

ADM
割合

TDM
割合

体重に対する
ADM

備考

濃厚飼料

186,816kg

5,104kg

14.0kg

62.7

70.9

2.29

 

粗飼料

111,326

3,042

8.3

37.3

29.1

1.36

 

合計

298,142

8,146

22.3

100.0

100.0

3.64

 

 注)給与量は風乾物換算量で示した。


 
2 粗飼料給与体系

表−13

区分

飼料名

給与状況(経産牛)

期間内

年間換算

10 11 12

給与量

1日当り

風乾物
換算

1日当り

ビートパルプ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

23,170kg

1.7kg

23,170kg

1.7kg

ルーサン乾草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13,819

1.0

13,819

1.0

スーダン、オーツ乾草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

34,405

2.6

34,405

2.6

牧草サイレージ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

63,828

5.0

39,932

3.0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 −

 −

111,326

8.3

 注)給与量( )内は風乾物換算量で示した。

○ 養分充足率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

DCP 156.2%

 

TDN 110.7%

○ 自給率(TDN)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

18.7%

○ 濃厚飼料1kg当たり産乳量・・・・・・・・・・・・・・・

1.86kg

○ 乳飼比・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全体42.0%

 

経産牛当たり38.8%



(6) 飼料作物
 1 生産利用状況

表−14

作物名

作付面積

10a当たり
播種量

10a当たり収量

合計収量

利用区分

生草

埋草

乾草

混播牧草

598

 −

3,251kg

194,390kg

kg

194,390kg (97,195)

kg

イタリアンライグラス

25

 −

3,640

9,100

 

9,100 (4,550)

 

スーダングラス

60

13.3

3,467

20,800

 

20,800 (10,400)

 

683

 −

3,284

224,290

 

224,290 (112,145)

 

 注)利用区分の( )内は製品収量を示す。


 
2 kg当たり生産費

表−15

区分

種子費

肥料費

減価償却費

修繕費

燃料費

その他

生草1kg当たり

埋草1kg当たり

9年

0.65

0.86

3.54

2.54

0.71

2.74

11.03

22.06




6.経営の成果


表−16

区分

単位

平成7年

平成8年

平成9年

指標





経産牛

35.9

37.1

36.6

未経産牛

9.1

5.7

5.0

子牛・育成牛

4.9

6.2

6.4

合計

49.9

49.0

48.0







経産牛平均産歴

2.8

2.6

2.5

経産牛平均分娩間隔

14.6

14.8

14.6

13.0以内

経産牛平均種付回数

2.6

2.4

2.4

2.0以内

経産牛平均体重

kg

639

614

612

620以上

経産牛処分率

33.4

35.0

27.3


搾乳牛1頭当たり産乳量

kg

10,560

10,466

10,493

経産牛1頭当たり産乳量

kg

9,295

9,056

9,476

8,000以上

濃厚飼料1kg当たり産乳量

kg

1.98

1.99

1.86

脂肪率

3.71

3.84

3.80

3.60以上

無脂固形分率

8.62

8.65

8.70

8.70以上

体細胞数

千個

154

177

153

100以下




経産牛1頭当り濃厚飼料給与量

kg

4,701

4,545

5,104

2,900

経産牛1頭当り粗飼料給与量

kg

3,098

3,331

3,042

4,550

粗飼料中の稲ワラ割合









給与養分の
充足率

DCP

143.8

147.8

156.2

TDN

106.1

106.9

110.7

体重に対する
給与割合

全給与

3.5

3.5

3.6

3.3以上

粗飼料

1.4

1.5

1.4

2.0以上




経産牛1頭当り作付実面積

18.7

17.4

18.7

TDN自給率

7.9

10.9

10.2

10a当り収量

青刈作物

kg

永年牧草

kg

3,059

2,808

3,252

5,000以上

1kg当り
生産費

生草

埋草

38.65

37.87

22.06

乾草


経産牛1頭当り飼養管理時間

時間

152.3

145.4

158.9

120

10a当り飼料栽培時間

時間

5.5

4.2

5.6

14









牛乳1kg当り

生産原価

83.57

86.58

92.04

総原価

101.53

102.45

103.40

牛乳1kg当り
自家労賃控除後

生産原価

62.58

64.85

67.02

総原価

80.54

80.72

78.38


乳飼比

39.4

39.6

42.0

40以下

うち経産牛当りの乳飼化

36.3

36.4

38.8

35以下




7.今後の経営展開



(1) 牛群検定成績を活用して一層の高能力牛群の整備を図る。
(2) 飼料の効率的給与と乳量、乳成分の一層の向上、作業の軽減と短縮を図るため、自動給餌機の導入を検討する。
(3) 飼料基盤の拡大による自給粗飼料の増産を図る。



【新潟ちくさん広場トップへ】
  【優秀表彰トップへ】