白根市土づくり協定の試み

土づくりは堆きゅう肥から
(農産物のブランド化はあしもとから、土づくり協定の耕畜連携、白根市の挑戦)
いかにして地域循環型農業システムを作るか




白根市農業協同組合
住  所 〒950-1298
白根市大字七軒字前211番地1
電話番号 (025)373-2107

1 地域振興活動の概要
   有機農産物が注目されている中、白根市でも家畜ふん尿や廃おが屑などの有機資源を活用し、土づくりを基本とした農産物づくりを行って、園芸農産物のブランド化を目指している。白根市堆きゅう肥供給者の畜産・きのこ農家と需要者の果樹・切り花生産農家が「白根市土づくり協定」を結び、堆きゅう肥の需給調整をスムーズに行うことを目指している。
 この協定にともない、白根市、JA白根市、中東蒲原農業改良普及センターで構成された「土づくり支援センター」をJA白根市に設置し、施用方法、栽培指導、情報提供などを行い、堆きゅう肥の円滑な需給調整を支援している。

白根市土づくり協定の内容
<目的>
 安全で良質並びに持続的な農産物づくりには、堆きゅう肥をうまく利用した土づくりが重要である。
 このため堆きゅう肥需給調整システムのもとで供給者と需要者が本協定を締結し堆 きゅう肥となる家畜ふん尿、きのこ生産により生じる廃オガなどの有機資源を有効活用し、土づくりの推進を図ることを目的とする。

<締結組織>
供給者 白根市農業振興協議会
白根市農業協同組合

畜産部会(20戸)
施設きのこ部会(11戸)
需要者 白根市農業協同組合
■■■■■■■■

果樹部会(783戸)
切花部会(52戸)

<供蛤者>
 供給者(畜産農家並びにきのこ生産の廃オガ供給農家)は有機資源を供給しようとする場合、毎年度JA各支所へ供給可能数量を報告する。(平成11度の供給量は約1,500t)

<需要者>
 需要者(果樹、切花等の生産農家)は、堆きゅう肥の希望数量を毎年度JA各支所に申し込む。

<協議内容>
(1) 需給実績報告並びに需給調整等
(2) 参考供給単価は、毎年度土づくり支援センターが仲介役として関係者と協議のうえ決定する。
 
(参考供給単価は堆きゅう肥の発酵にあわせて3段階に区分し、それぞれ参考価格を定めて堆きゅう肥の品質・価格の均一化を図る。)

<土づくり支援センターの設置>
(1) 構成
白根市農業協同組合、白根市、中東蒲原農業改良普及センター
(2) 活動内容
土づくり協定の円滑な推進を図るために
・年間供給計画の作成と生産農家への情報提供
・良質堆肥づくり及び利用者への活用指導

2 地域の概況
  (1)位置及び特性
 白根市は新潟平野のほぼ中央に位置し、信濃川と中之口川に囲まれた肥沃な耕地を有する地区である。面積は77.08km2、周囲約60km、南北19.2kmを国道8号線が縦貫、県都新潟市に近接する。北陸自動車道の巻潟東インターや三条燕インターからも至近距離にある。
 9年の農業粗生産額は118億6千万円で、構成は米54.3%、果樹16.2%、野菜15.9%、畜産6.3%の割合である。養豚では県内有数の産地である。

(2)気象
 夏期は高温、多湿、冬期は曇天の日が多い日本海側特有の気象であるが、比較的少雪地帯である。過去5年間の気象は平均気温13.4℃、年間降水量は1,552mm、最深積雪は68cmで根雪期間は2週間程度である。

3 地域振興活動の内容
  (1)活動のはじまり
 堆きゅう肥利用果樹農家と利用していない果樹農家では果実の品質(糖度等)に差があるため、白根市農産物(特に果樹)のブランド化を推進するうえで問題であった。
 そのため関係機関・団体等で白根市内の堆きゅう肥を耕種農家に効率利用を図るにはどうしたらよいか、白根市全農家に堆肥等のアンケート調査を行った。
その緒果
堆きゅう肥を施用しない果樹農家では、市内の堆きゅう肥または、堆きゅう肥そのものを入手困難と考えていた。(これは、畜産農家が点在化し他部門農家とつながりが少ないためと思われる。)
堆きゅう肥を施用している果樹農家では、堆きゅう肥の品質のばらつきや量の不足を感じている。
堆きゅう肥を利用したいと希望する農家が200戸近くいることが判明した。

 このアンケート調査結果、関係機関・団体と果樹生産者等の代表で堆きゅう肥需給調整システムの策定に取り組むことになった。


(2)活動の位置づけ
耕種農家
堆きゅう肥の安定供給を受けることができ、計画的な土づくりが促進される。
畜産・きのこ農家
堆きゅう肥の計画生産が可能となり、ふん尿問題の解消につながる。
白根市農業協同組合
高品質農産物の安定供給と商品のブランド化を支える体制づくりの一環として期待している。
白根市
耕畜連携と農業振興が、理想的な形で行え、生活環境にも優しい環境保全型農業の確立の第1歩として期待している。


(3)活動の実施体制

堆きゅう肥需給調整システム体制(案)



(4)具体的な活動の内容と成果
 土づくり協定を推進するために「土づくり支援センター」を設置し、堆きゅう肥需給の推進活動を行った。

<土づくり支援センターの活動内容>

1 白根市土づくり協定締結(堆きゅう肥需給調整システム)
 耕種農家(果樹・切り花農家 835戸)と畜産(11戸、1,000t)・きのこ(11戸、500t)農家の間で堆きゅう肥の需給確認を行った。
 また参考価格の提案、堆きゅう肥の成分および内容物(副資材名等)の明記を利用しやすくした。

2 土壌調査の実施
(収量、品質との相関関係の検討と栽培技術の改善を進め安定生産と品質の向上を支援した)
・栽培土壌の実態把握
■■対象品目 果樹(500点/年)、切花(70点/年)

3 堆きゅう肥、キノコ廃オガ堆肥等の実証ほの設置
(栽培マニュアル案の実証による裁培マニュアルの作成と展示ほとしても活用し、土づくりの重要性を啓発した)
・対象作物 ぶどう(20a)、きゅうり(8a)、水稲(30a)
・裁培マニュアルの作成(ぶどう、きゅうり、水稲)

4 果樹栽培管理実態調査の実施
(堆肥を投入する希望があるか、どのような堆きゅう肥が良いのか、流通体制は、など実際に利用する側、提供する側の調査を行い堆きゅう肥需給システムの構築の基礎とした)
・アンケート調査・聞き取り調査(これにより200戸以上から堆肥の需要要望があることが判明した。)
・生産指導データべ一ス作成
  非破壊検査機械により糖度等果実の品質分析を行い、各ほ場条件と農産物品質のデータベース化を図り、今後の栽培指導等の支援に役立てる

5 啓発資料の作成指導・配布
■■栽培管理資料等配布 約1,000部(主に耕種農家に配布)

成果
今後に期待される。


(5)地域振興の活動の年次別推移
年 次 活動の内容等 成果・問題点等
平成11年4月 土づくり協定が締結される

土づくり支援センターが設置される
白根市農業の将釆を考える「しろねブランド塾」の部会である「土づくり協定班」の企画により、しろね土づくり協定や土づくり支援センターが設置された。

4 地域振興活動の波及効果の可能性
   協定の円滑な推進により畜産と園芸との組み合わせ地域においては、堆きゅう肥の地域内一貫供給体制が図られ、理想的な環境保全型農業の推進が期待される。また、将来の堆きゅう肥の広域流通体制整備への足掛かりとなる。

5 今後の活動の方向・課題等
 
課題は、 1)作物別栽培指導資料の作成、栽培指導者の養成
2)堆きゅう肥の目的別品質の安定化
3)堆きゅう肥施用の機械整備と堆肥施用組織づくり
 (高齢者の堆肥利用希望農家のために)
などがあげられる。

今後も、農産物のブランド化を図りながら、環境保全型農業の確立をめざす。



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