耕畜連携による高品質米生産への取り組み

AOBA

 

1

味方村の概要

(1)立地条件

 味方村は西蒲原郡の北東部に当たり、東は中ノ口川を境にして白根市に接し、南は月潟村、西は潟東村、北西は黒埼町に隣接している。
 村の総面積は1,444haで、耕地面積は水田972ha、畑69haとなっている。平成11年の人口は4,669人、世帯数は1,148戸である。

 

(2)人口及び産業経済の動向

 近年農業の機械化が急速に進み、農業基幹労働力が節減されるとともに、生活費の膨張などの理由により若い農業後継者が農業を離れて他産業へ就労している。
 農家数は昭和55年に444戸であったものが平成7年においては364戸まで減少している。(平成11年の転作配分農家数は320戸である。)また、農業従事者数も1,119人(22・2%)に減少しており、今後益々この傾向は強まるものと思われる。

 

(3)農業生産(平成10年)

 農用地は水田率が93.5%と絶対的な地位を占めており、米の生産が直接農業経済を大きく左右している。
 作物別生産面積割合は米が76%で圧倒的に高く、野菜は12%である。農業粗生産額は21.8億円で、このうち米が13.4億円(61%)、野菜・花き類等は5.0億円(23%)、畜産3.0億円(14%)の状況であり、この生産農業所得は8.52億円となっている。また、1戸当たりの生産農業所得は2,341千円である。
 経営形態は水稲主軸の営農であったが、転作等の推進により複合営農を進めてきた。
この結果、きゅうり、トマト、切り花等の施設園芸と枝豆、ねぎ等露地野菜の栽培が拡大している。

 


2

組合の活動概要

(1)組合の発足

 動き出したのは、新食糧法の施行される前、平成6年の秋である。
 もともと、地域内に酪農団地があり、そこからでる牛糞処理の悩みがあった。
 その頃、耕種農家としても、特に米に関しての状況が急な転回を示して来たことに対して、今までどおりの米づくりではダメだなあという思いに変わってきた。身近にある牛糞とモミガラを使い完熟堆肥を作り、それを散布して高品質・良食味の農産物を生産し、経営の体質強化と有利販売につなげようという思いが一つになり、仲間に声をかけた。
 その結果、15人(平均年齢41歳)の若手農業者が賛同し、平成7年7月に任意の推肥利用組合AOBAが発足した。集まった農家は、米を主体として酪農家2戸、花き農家2戸、野菜農家3戸が含まれ、専業的農家は7戸を占めている。

 AOBA参加農家の概要

全体

15戸

耕地面積

合計約60ha

1戸平均約4ha

内訳

専業

7戸

稲+野菜 3戸
稲+花き 2戸
稲+酪農 2戸

 

兼業

9戸

建設業、造園業等にたずさわっている。

稲作規模

2〜8ha、乳牛頭数 約90頭

 

(2)活動の経過

堆肥散布による米づくり

 

 平成6年秋から堆肥散布による米づくりの実証を行った。平成7年には組合員で稲の生育調査・土壌調査を実施し、ほ場ごとの堆肥散布量を決め、栽培マニュアルを作成した。
 毎年、メンバーの育苗ハウス巡りをし、苗を標本にし健苗育成に努めている。
 生育調査を実施し、毎月1回以上の定例会により検討を行っている。また、食味計による食味調査、電子顕微鏡による分析なども実施した。

堆肥センターの設置

 

 平成8年には、堆肥散布の効率化と環境保全型農業のシンボルとして村に働きかけ、国及び県の補助事業を利用して堆肥センターを設置した。敷地面積10a、原材料は牛糞・モミガラで2.4t/日の生産量能力がある。
 平成8年の12月に引き渡しを受け、3.5t/回の散布能力のあるマニュアスプレッダーを導入し、散布の効率化を図っている。散布面積は平成11年の実績でAOBA組合員の栽培面積60haのうち、45haとなっている。組合員が1日4〜5人編成の日割り当番を組み、ダンプ2台でピストン輸送し、散布している。秋まで出来たものは、年内に、冬場作られたものは春の日程で散布する。1日8ha位散布でき、合計6日間で終了している。

米の販売

 

 米の販売は、農協と生産者自らの販売と両面から取り組んでいる。現在は、関東方面への販売が主体であり、消費者との交流にも取り組んでいる。今後も、女性同士の訪問・話し合いが待たれる計画である。

 


3

堆肥生産散布概要

(1)

堆肥センター施設概要

 

事業年度

平成8年度

事業名

(国)畜産再編総合指導事業(堆肥センター)
(県)マイルドアンドクリーン農業総合推進事業(マニュアスプレッダー)

事業主体

AOBA

施設所在地

西蒲原郡味方村大字味方1922 酪農団地隣地借用

敷設面積

1,000m2

原材料

牛糞、籾殻

堆肥生産量

2.4t/日

(2)

事業の概要

 

畜産再編総合対策事業(国)

事業種目

事業費

備考

堆肥発酵施設建設費

32,960,000円 

38m2×6区画

エアレーション

1,830,310  

2,3区画の2ヶ所

ホイルローダー

5,499,170  

58ps、バケット容量 0.9m3

設計施工管理費

2,060,000  

 

測量

237,000  

 

事業費合計

42,586,480円 

 

マイルドアンドクリーン農業総合推進事業(県)

事業種目

事業費

備考

マニュアスプレッダー

6,869,070円 

自走式(3,500kg, 65ps)

(3)

受益戸数

 

ア AOBA組合員

2tダンプ1台

2,500円

散布

1,500円

イ その他(希望により構成員外へも販売)

5,000円/2tダンプ満載

2,000円/10a

(4)

堆肥生産工程フローチャート

 

 

※ほ場でダンプから
マニュアスプレッダーに積み替え

2tダンプで運搬

マニュアスプレッダーで散布

水田面積 36a/枚
巾30mx120m

積み込み後、2周して完了

約15分

(5)

堆肥生産散布コスト

 

 

平成11年度
 AOBA堆肥生産コスト (円)

経費

燃料費
電気料
修繕費
資材費
賃借料
人件費
固定資産税
支払利子
減価償却費

260,000
400,000
150,000
70,000
590,000
850,000
180,000
320,000
1,850,000
4,670,000

収入

堆肥売上

900,000

 

 

 

差引

 

3,770,000


10a当たり散布コスト
3,770,000円÷45ha
8,378円

人件費控除10a当たり散布コスト
3,770,000円-850,000円
2,920,000円÷45ha
6,489円

 

 


4

具体的な農業技術・経営の特色

(1)堆肥生産

 堆肥は一番ランニングコストのかからない牛糞とモミガラの切り返し方式(約10日/区間)でつくっている。

 特殊肥料としての届出をしており、安全で成分の分かる堆肥である。

(2)水稲栽培

 育苗について、種もみ消毒は行う。
 播種量は100〜110g(催芽)の薄播きとする。

 耕起前に完熟堆肥を10g当たり0.7〜1.0t散布し、本田元肥はゼロからスタートする。

 田植え後、本葉5〜6葉までの間にN成分で、10a当たり1〜2kgを施し、苗の力による良質茎確保に努め、穂肥まで持っていく。穂肥は、N・P・Kともに成分5%の有機質肥料を10a当たりN成分で2〜3kgを施肥する。N成分が少ないため、他の化学肥料の3倍の労力を要する。

 本田除草剤は、田植え後1回のみとする。

 病害虫防除は、3回の航空防除による。

 水管理は根を重視したきめ細かな水の更新に努め、登熟・品質及び食味の向上を図る。

 


5

取り組みの成果、今後の課題

(1)成 果

 地域の耕畜連携が進み、環境問題も回避された。(生堆肥の散積がない。)

 組合員の堆肥及び有機質肥料による栽培方法が確立され、高品質・良食味の米生産のマニュアル化が図られた。

 これらの栽培方法は地域への波及効果も高いと認められる。

 営業活動により、関東周辺への販路が確立されつつある。

 経費も掛かっているけれど、『品質・食味は評価します。もっと欲しい。』と言われるようになった。

(2)課 題

 堆肥生産・散布コストが平成11年度実績で8,378円/10aと高く、有機質肥料の単価も高いことから、これらの投資の回収が今後の大きな課題である。すなわち、当面は付加価値として有利販売をさらに高めることが必要となるが、今後、改正JAS法により先は厳しい。

 4月から施行される新JAS法(改正)

 今までは、登録販売業者に義務付けだったが、全ての製造販売業者に品質表示義務がかかるので、改正JAS法により「有機米」表示が厳しくなる。
 無登録販売業者も品質表示が義務付けられる。
 JASマーク必要。今後、有機米は減り、価格は上昇する。

 堆肥生産において、倒伏軽減剤を使用したモミガラの引き取りを断ったため、モミガラの確保に苦慮しており、現在は100ha分集めているが、実際には200ha分必要である。









 



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